1浪で東大理Ⅲ「開成で数学1位」から見たどん底 東大理Ⅲに合格した彼が得た大きな気づき

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そうして万全の状態で臨んだ受験。センター試験(現:共通テスト)は前年と同じで9割だったものの、2次試験では手応えがあったそうです。

「受かったかなとは思いました。ただ、前年落ちた経験があり、受験番号が掲示板にあるビジョンがなかったので不安に思いながら見ましたね。自分の番号を確認したときは拳を握りしめて『よし』と言ったのは覚えています(笑)」

こうして彼は、滑り止めの慶應義塾大学医学部と、東京慈恵会医科大学も合格し、全勝で受験を終えました。

浪人の1年を、自分を成長させる時間として最大限に使ったシーナさん。彼に浪人してよかったことを聞いたところ、「シングルタスクの能力が鍛えられた」、頑張れた理由については、「体力があったから」と答えてくださいました。

「1つのことだけを考えて深く打ち込める時間は、人生においてあまりありません。ですが、僕は受験勉強のことだけを考えて極められる浪人という期間を与えてもらったおかげで、複数の仕事をこなすよりも、1つのことを深くやるほうが効率がよくなるということがわかりました。

その試行錯誤ができたのも、野球で身につけた体力がベースになっているからだと思います。1日10時間勉強しても、野球に比べたら楽でした。僕は勉強の負荷に自分の体力が勝っている状態だったから、ずっと学び続けることができたのだと思います」

失敗しても大したことは起きない

また、浪人を通して得たものに、「精神的な余裕」をあげてくださったのが印象的でした。

「きれいなレールに乗り続けていると、自分はいつ、どこで脱線するんだろうと不安に思います。でも、早めに脱線したことで、失敗しても大したことは起きないし、人生そんなに変わらないなと思えるようになりました。浪人のときに身につけた余裕や自己管理能力は、今でも仕事に使えているので、経験しておいてよかったと思います」

東京大学理科Ⅲ類を卒業してからのシーナさんは、現在、医師をやりつつ、YouTubeチャンネル「ガチでノビる受験数学 東大医学部の解説動画」を運営し、受験生に向けて講義や勉強法の解説動画を出しています。2023年には共著者として『東大数学の発想と検討: 過去問6年の解法・答案アプローチ』も執筆しました。

浪人 濱井正吾 数学
シーナさんの数学の講義の様子(写真:シーナさん提供)

YouTube活動を続けることができているのも、浪人時代にチャレンジした経験が大きいと語ります。

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