災害時のSNS「デマ・誤情報」惑わされない対策6つ 「家族・友人・知人との直接の会話」で広まる事も

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今回の地震が人工的に引き起こされたとする根拠のない主張も広まっている。NHKの分析によると、2024年1月2日午後5時30分までに「人工地震」に関する投稿は約25万件に上り、中には850万回近く閲覧されたものもある。

東日本大震災の津波の映像を今回の地震による津波と偽って投稿するケースも報告されている。投稿の中には数百万回表示されているものもある。

さらに、地震や火災の原因、北陸電力の志賀原子力発電所の状況に関する根拠のない情報も広まっている。被災者を装い、電子マネーでの募金を呼びかけるアカウントも確認されている。

災害時のデマ拡散の深刻な影響

災害時にデマが広まりやすい背景として、社会全体が不安に包まれていることが挙げられる。歴史を振り返れば、例えば関東大震災の際にも同様の現象が見られた。

人間社会において、災害とデマは切り離せない関係にある。しかし、インターネットやSNSの普及により、デマの拡散速度と範囲はかつてない規模で増大している。

デマは多くの場合、感情に訴える要素や「教えたい」という欲求を刺激する内容で構成される。不安や怒りといった強い感情や、利他的な動機によって人々はデマを拡散しやすい。

実際、筆者の研究チームの調査によると、「不安に感じたから」とか「伝えることが他人や社会のためになると思った」という理由でデマを拡散している人が多いことが明らかになっている。

災害時のデマがもたらす影響は深刻だ。パニックや混乱は避難行動の誤った方向への導きや物資の略奪、間違った行動へとつながり、被災地の状況をさらに悪化させる。また、救援活動にも影響を与え、不必要な救援派遣の発生や自治体の作業負担の増大が見られる。

社会的分断は、デマを信じる人々と信じない人々の間の亀裂を生み出し、特定のグループへの排除や差別を助長する。誤った自己防衛策が広まることにより、人々をむしろ危険にさらすリスクが高まる可能性もある。

そして最も重要なのは、災害時に正確な情報がいかに大切かという点である 。SNSの普及により、緊急時の情報が迅速に広く共有できるようになったが、デマの存在は、それらの情報全体の価値を損なう。結果として、人々はすべての情報に対して疑念を持ち、正しい判断を下すことが困難になる。

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