元日に発生した能登半島地震は、家屋の損壊などにより多数の死傷者を出した。被災地では、現在も救命活動が続けられている。
負傷者や、持病がある被災者には、薬の供給も必要となってくる。しかし今回の震災では、複数の製薬企業の生産拠点にも被害が及んだ。
富山の2社の工場で影響出る可能性
「越中富山の薬売り」――。最大震度5強を観測した富山県は、そんな言葉で知られる通り、古くから医薬品産業が盛んだ。今も医薬品製造などに関わる企業が集積している。
富山が地盤のジェネリック大手・日医工は、富山市にある本社の外壁が剥がれる、エレベーターが止まるなどの被害を受けたが、1月3日までに復旧作業を行った。社員の安全は確認済み。富山県滑川市の物流センターは、配送先の医薬品卸などの受け入れ状況を見極めつつ、出荷を調整しているという。
同じく富山市に本社を置く医薬品の原薬製造などを担うダイトも、生産設備や品質管理設備に異常はなく、1月4日から営業を開始している。
アステラス製薬は、当初1月5日からの稼働を予定していた富山市と高岡市の工場について、現在も確認作業を行っている。ただ、医薬品の供給に直ちに影響を与えるような被害は報告されていない。復旧作業と機械の試運転を行った後、在庫状況などに応じて稼働を再開する予定という。
輸液を製造する大塚製薬工場の富山工場(富山県射水市)でも、人的被害はなく、設備点検を継続中だが、とくに不具合は確認されていない。富山市に工場と配送センターがある富士製薬工業も、人的被害、建物の被害ともに認められておらず、設備への影響を確認中だ。
日本製薬団体連合会によれば、富山県内にある2社の工場で今後稼働への影響が出る可能性があるとのことだが、社名は公表していない。