ジェネリック最大手「サワイ」、呆れた不正の実態 供給不足続くさなか、見過ごされた3度の合図
「サワイなら安心だ、と思っていた患者さんや医療機関の期待を裏切ってしまったことに、心からお詫びを申し上げる」
10月23日の午後、急きょ開催された記者会見。後発医薬品メーカー最大手、沢井製薬の澤井光郎会長は沈痛な面持ちで頭を下げた。
沢井製薬は同日、胃薬「テプレノンカプセル50mg『サワイ』」で、品質試験における不正が2015年から継続的に行われていたことを明らかにした。
後発薬業界では2020年以降、品質不正が続々と発覚し、製品の自主回収が相次いでいる。業界大手だった日医工や、中堅の小林化工が業務停止命令を受けた影響で製品の流通に混乱が生じ、3年経った現在も供給不安が続く。そんなさなかで判明した最大手の不正に、業界関係者は「さらなる混乱につながるのでは」と不安をあらわにする。
品質試験で「溶けない薬」が検出
沢井製薬はこの日、外部の専門家や弁護士らで構成する特別調査委員会がまとめた調査報告書と、再発防止策を公表した。報告書によると、不正が行われたのは、販売後1〜4年が経った薬の経年劣化について調べる安定性試験においてだった。
テプレノンは、時間が経つとカプセルが溶けにくくなる性質があった。そのため品質管理の担当者は、試験時に新しいカプセルに詰め替え、適合したものとして処理していたという。当然、この行為は承認書に記されておらず、承認書と異なる手順を踏むことは医薬品の製造管理ルールを定める省令に反する。
発覚のきっかけは4月。カプセルの詰め替えについて知らない新たな担当者が、本来の手順で試験を行ったところ、カプセルが溶けない薬が続出したのだ。
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