「1枚1207円」吉野家の鰻重が"高め"でも人気な訳 でかい・厚い・うまい!をかなえるこだわりとは?

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吉野家ホールディングスの羽鳥純さん(商品開発部)によると、鰻重が吉野家のメニューとして初登場したのは2007年。当時は現在のような通年で提供するレギュラーメニューではなく、期間限定で、「鰻重」ではなく「鰻丼」でした。単品で490円と、値上げラッシュが続く今では信じられないような低価格で提供していました。

「鰻丼」当時の写真(提供:吉野家ホールディングス)

以降は土用の丑の日があり、鰻の時期として知られる夏季限定で販売していましたが、年間を通して食べたいという声を受け、2015年から通年で提供することになりました。通年で提供するようになったタイミングで、丼から重へとリニューアルするとともに鰻のサイズも見直し。従来比で1割ほど大きくなりました。さらにその後、2022年に再度大きな従来比1.5倍のサイズへと変更をしています。

サイズだけでなく、タレもいくつかの変遷をたどってきました。鰻の専門店や老舗は継ぎ足しのタレを使うことが多い一方、チェーン店で提供するうえでは衛生面から難しいと判断。

そこで、現地調査などを通して鰻の頭を焼き、旨みを抽出してタレに使っています。「発売当初は甘めのタレだったのですが、有名店を調査する中で甘みがくどくならず、キレが良いという特徴があることに気づき、徐々に近付けてきました」と羽鳥さんは話します。フードロス削減にも目を向けた工夫です。ちなみに吉野家の商品開発部には日本料理専門家が常駐していて、アドバイスを受けながら企画をしているとのこと。

吉野家といえば、牛丼に有田焼の器を使用していることでも知られます。鰻重の器には、何か工夫があるのでしょうか。羽鳥さんに聞いたところ、ポイントは四隅が直角ではなく、やや丸みを帯びていること。ご飯をかきこみやすく、洗い残しが少ないことから衛生面にもメリットがあるそうです。

高級な鰻を「日常食」として提供

製法では、「焼き」にこだわりを持っています。工場で白焼き、蒸しを経てタレをつけながら4度焼きをしているそうです。そのほか、鰻の泥抜きを2日間にわたって行うなど、随所に細かな工夫がうかがえます。

一方で、鰻丼として登場した当初は500円未満だった価格は、現在1000円超に値上がりしています。「うまい、やすい、はやい」として知られる吉野家にとって、ほかのメニューと毛色が違うようにも感じます。この点についてはどう考えているのでしょうか。

「吉野家では『日常食』をキーワードに、毎日の生活の中で楽しめる商品バラエティーをそろえることを意識しています。すき焼きや鰻といった通常であれば高級な食事であっても、手に取りやすいメニューとして提供できるように工夫を重ねています」(羽鳥さん)

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