次世代半導体の製造装置と材料の開発は、先端半導体企業との共同開発が基本。日本に先端半導体製造拠点がないため、装置や材料企業は目下、海外へ開発パートナーを求めており、実際にシェアも低下している。このままでは日米欧で新たに構築するサプライチェーンが失敗する可能性もあり、ラピダスが設立された。
しかし、そもそもなぜ日本の半導体業界はそこまで衰退したのだろうか。
日本の半導体業界は1980年代に世界的なテレビ、カメラ、ビデオブームや家電需要に押し上げられ、1980年後半には世界の半導体市場における日本企業シェアは50%を超えた。
当時はNEC、東芝、日立製作所、富士通、沖電気、シャープが世界の売上高ランキングの上位を独占するなど、半導体は「技術立国ニッポン」の象徴的存在だった。
しかし、日米貿易摩擦とともにパソコン市場で急成長したインテルや、メモリでは価格競争力に優れた韓国のサムスン電子やSKハイニックスにシェアを奪われてしまう。技術開発競争でも同時期に後れを取り、その後30年はシェア低下が続き2022年にはわずか9%になった。
地殻変動により追い風を受ける日本
しかし、米中摩擦から一気に日本がアメリカにとって最重要なパートナーになってきている。この変化は、単なる一時的な需要の高まりと見るべきではなく、半導体サプライチェーンのあり方を根本から変える大変革の始まりと見るべきだろう。
従来の半導体のエコシステムでは、製品プロセスは大きく「設計開発」「製造(前工程)」「製造(後工程)」の3段階に別れていた。設計開発は、アメリカが強く、ファウンドリーなどの製造(前工程)は、台湾TSMCの圧勝、そして製造(後工程)は、東南アジアや中国で行うという分業体制が確立されてきた。
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