つまり、顧客が商品企画を立てさえすれば、ラピダスが設計から全工程製造・パッケージングに至るまで一気通貫で受託するという短TATの新たなビジネス形態だ。
これまでの半導体工場とは違い、オール枚葉処理、完全自動化、新たな搬送技術やグリーン化に注力しており、根本から違うとしている。工程と工程の間の待ち時間を極限まで短縮することで短TATを実現するとしている。
メガファウンドリーと正面切って争わない
製品化までの時間は今後の半導体産業にとって非常に重要だ。3ナノの半導体の開発から製造まで2年近い時間が必要だが、これでは2年遅れの技術を製品にしているに過ぎず、短TATの重要性が増していることは間違いない。
製造装置からセンサで収集したビッグデータを、AIを活用してする仕組みは先端半導体工場では常識化しているが、ラピダスの新工場はさらに進化したものと考えればよいだろう。
ラピダスはTSMCのようなメガファウンドリーと正面切って競うのではなく、メガファウンドリーが拾いきれない少量生産の領域に集中するという、補完関係を構築することを目指している。
だが、課題も多く残されている。波長13.5ナノにて露光する次世代露光技術の極紫外線リソグラフィ(EUVL)の経験者が少ないので工場の立ち上げに時間がかかる可能性がある。
ラピダスは装置搬入から稼働開始までわずか4カ月しかないが、TSMC熊本工場は、1年以上かける計画である。TSMC、サムスン、インテルも最初のEUVL立ち上げには数年を要している。垂直立ち上げのためには国際連携がどこまで機能するかがポイントだろう。
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