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前例なし「M-1グランプリ」誕生の知られざる舞台裏 ミスター吉本「漫才を盛り上げてほしいんや」

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かくして、前代未聞のコンテストを実現させるために、著者は奔走することになる。そもそも、まずは1000万円という大金を調達してこなければならないのだ。いうまでもなく、それは簡単なことではない。いや、現実的ではないと表現したほうが近いかもしれない。事実、1000万円を調達するまでのプロセスは、本書の山場のひとつになっている。

「前例がない」に打ち勝つために

いずれにしても、まだまだスタートライン。ここから著者の、血の滲むような戦いが続いていくのだ。ただし、以後のことについてはここで明かさないほうがいいと思う。簡単な話で、ネタをバラしてしまったら、読んで体験する楽しみが減ってしまうからだ。逆にいえば、それだけ楽しみがいのあるストーリーであるということ。

いわば本書は、次から次へと起こる苦難を乗り越えながら進んでいく主人公(著者)の足取りを描写した、格好のエンターテインメント作品なのである。しかし同時に注目するべきは、もうひとつの顔があることだ。すなわちそれは、ビジネス書としての側面である。

ビジネスの現場においては、実現させたいことを「前例がない」という理由で却下されることが少なくない。ビジネスパーソンは、それをいかに乗り越えていくかの力量を問われるわけだ。ただし、その際に参考となるテキストは意外と少ない。

そういう意味でも本書はきっと、「こういうときはこうしたらいいのかもしれない」というヒントを与えてくれるはずなのだ。なぜなら著者は、「前例がない」ことを実際に成功させているのだから。

それから最後にもうひとつ。

冒頭で触れたとおり、恥ずかしながら私は長らく「お笑いには疎い」状態のままでいた。また、そんな自分のこれまでの感じ方に、少なからず偏見が混じっていたことも認めざるをえない。

だが、本書を通じて漫才師たちが血の滲むような努力をしていたことを知らされた結果、彼らがたどってきた道のりに関心を抱くことができるようになった。だからこそこれを機会に、(動画などを通じて)過去から現在に至る漫才を改めて体験しなおそうと思っている。遠回りしてしまったのは事実だけれど、お楽しみはこれからだ。

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