前例なし「M-1グランプリ」誕生の知られざる舞台裏 ミスター吉本「漫才を盛り上げてほしいんや」
お恥ずかしい話なのだが、私は人から「本当に知らないんですね!」と驚かれるほど「お笑い」には疎い人間だ。1980年代初頭の漫才ブームはリアルタイムで体験したし、当時は人並みにハマっていたと思う。ところが気がつけば、いつの間にやら興味が薄れていたのだ。
そのため、理由がわからないまま、モヤモヤとした思いを残しながら数十年を過ごしてしまった。したがって、いつしか大きな盛り上がりを見せていた「M-1」にもさほど興味を惹かれなかった。否定したいという意味ではない。家族が大笑いをしながら見ているのでその輪に加わり、一時的に笑ったりもしていたのだが、なんとなくそれだけで終わっていたのだ。
知らない世界を見てみようと思った
つまらない人間だなあと自分でも思うけれども、だからといってハマったふりをして無理に自分を納得させても意味がない。
だから白状してしまうと、『M-1はじめました。』(谷 良一 著、東洋経済新報社)を読み始めたときにもさほどの思いがあったわけではなかった。あまりにも自分が無知なものだから、少しはこの世界のことを学んでおかなければいけないかもしれないと思っただけのことだ。
ところが読んでみた結果、かつて漫才ブームを体験した自分が、時間の経過とともにお笑いへの興味を失った理由がはっきりわかった。
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