元祖の50ccエンジン車と同様に、幅広いユーザー層が気軽に近距離移動できるモビリティとして提案している。1980年代や1990年代には、身近な乗り物として一斉を風靡した50ccの原付スクーターだが、近年は、厳しい排気ガス規制により、存続が危ぶまれている。そんなかつての人気者を、電動化により復活させるというコンセプトが興味深い。
スズキでは、ほかにも、やはり電動アシスト自転車のバッテリーと駆動ユニットを使用したペダル付き電動モペット「e-PO(イーポ)」もコンセプトモデルとして展示した。こちらも原付一種相当で、スクーターのようにスロットル操作だけでペダルを漕がずに走行できる「フル電動走行」、ペダルを漕ぐ力をモーターが支援する「アシスト走行」、ペダルを漕ぐ力だけで走る「ペダル走行」といった3モードを用意。また、折り畳みが可能なことで、少ない駐車スペースで自宅などに保管することが可能だ。
電動スクーターとしては、本田技研工業(以下、ホンダ)も、「SC e: Concept(エスシー イー コンセプト)」というコンセプトモデルを出展した。こちらは、同社がすでに市販している原付一種の電動スクーター「EM1 e:」をより大きくしたような原付二種(第二種原動機付自転車)モデルだ。電動の商用バイク「ベンリィe:I」などにも搭載する交換式バッテリー「Mobile Power Pack e:(モバイルパワーパック イー)」2個を動力源に採用。電動モデルならではのスムーズかつ力強い走りを実現するとともに、原付一種モデルと違い2人乗りも可能なことがポイントだ。
国内4大メーカーが共同で水素エンジンを研究中
ちなみに、国内4メーカー(ホンダ、ヤマハ、カワサキ、スズキ)では、現在、共同で2輪車など小型モビリティ向け水素エンジンの基礎研究も行っており、2023年5月に「水素小型モビリティ・エンジン技術研究組合(通称HySE、Hydrogen Small mobility & Engine technologyの略)」の設立を発表している。水素を燃料とすることで、CO2を排出せずに従来ある内燃機関を活用できることが水素エンジンのメリット。だが、燃焼が不安定だったり、大型となる燃料搭載スペースを2輪車や小型モビリティでは取りにくいといった課題もある。そこで、メーカー各社が共同で実用化などに関する研究を行っているのだ。
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