なお、今回のショーでカワサキは、フルカウルの電動バイク「Ninja e-1(ニンジャe-1)」も展示した。欧州など海外ではすでに発表済みのこのモデルは、欧州A1ライセンス対応車(排気量125cc以下で最高出力15PS以下)に相当し、コンパクトな電動モーターと軽量なフレームを採用することで、優れた加速性能と軽快なハンドリングを実現するという。
また、取り外し式のリチウムイオンバッテリーは家庭用コンセントからの充電が可能で、1回の充電あたりの航続距離は72km。なお、このモデルについて、カワサキは日本導入に関するアナウンスをしていないため、現時点では、あくまで海外専用モデルとなるようだ。
転倒しないヤマハの技術
一方、ヤマハでは、電動化に加え、知能化も施したコンセプトバイク「MOTOROiD2(モトロイド2)」が興味深かった。自らをセンシングし、2輪車なのに転倒しないバランス機能を持つモデルで、ヤマハが2017年に発表した「MOTOROiD(モトロイド)」の進化版だ。新型では「画像認識AI」を進化させることで、オーナーの意思をくみ取りながら状態を判断する機能を追加している。これにより、例えば、やや離れた場所にいるオーナーがこのモデルを呼ぶと、まるでペットが尾を振るように後輪を左右に動かしながら近づいてくるといった動作を行う。
また、車体上面には「リーフ」と呼ばれるストラクチャーも新設。低速走行時にライダーの上体を支えるなどで、まるで人を背に乗せて走る生き物のような生命感も演出しているという。自分が所有するクルマやバイクをよく「愛車」と呼ぶが、このモデルは、その概念を超えた「人生の伴侶」のような存在感をもつパーソナルモビリティなのだという。
ほかにも、ヤマハでは、MOTOROiD2にも投入している二輪車安定化支援システム「AMSAS(アムサス)」を装備することで、極低速時の転倒などを防ぐ機能を持つ電動スクーター「ELOVE(イーラブ)」を展示。また、電動ミニバイク「E・E-FV(イー エフブイ)」は、子どもから大人まで、ファミリーで楽しめるファンビークルとして提案したモデルだ。いずれも、コンセプトバイクながら、電動バイクが身近になる未来を見据えた多様な提案をしていたことが特徴だ。
スズキが発表した電動バイクのコンセプトモデルでは、「e-choinori(イー チョイノリ)」というモデルが面白かった。チョイノリといえば、スズキが2003年に発売した50ccスクーターの名称。通勤や通学、買い物など、近距離の移動に特化した機能と、どこか愛くるしいフロントフェイスにより人気を博した。それをベースとするこのモデルは、電動アシスト自転車用のバッテリーと駆動ユニットを搭載した原付一種(第一種原動機付自転車)相当のEVスクーターだ。
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