「スズキのSUV(スポーツ多目的車)に相応しい、本格的な走行性能を実現するEV(電気自動車)だ」
「ジャパンモビリティショー」の一般公開に先駆けて行われた10月25日のプレスデー。スズキの記者発表に登壇した鈴木俊宏社長がこう言って真っ先に紹介したのが、スズキがEVの「世界戦略車第1弾」に位置付ける「eVX」だった。
この日が日本初公開となったが、世界初公開は今年1月にインドのデリー近郊で開かれたオート・エキスポだった。お披露目の順番や、スズキの日本での既存車種の主力がSUVではないことからも、インドでの展開を重視して開発したものであることが見て取れる。
インドはスズキがシェア4割強を握り、世界販売台数の過半を占める最重要エリアだ。インドでの発表当時はまだ、日本での販売は検討段階だった。
開発・生産をまとめて効率化
スズキはこのほど、eVXを日本でも販売することを決めた。スズキ関係者によるとインドで一括生産し、日本や欧州に輸出する方向で調整している。販売時期は早ければ2024年の10月頃を想定し、インド、日本、欧州で同時発売を目指すという。商用車を除くと、スズキが世界で市販する初めてのEVになる。
異なる複数のエリアに向けて共通の車種かつ同様の仕様でつくるのには、生産効率を高める狙いがある。EVはリチウムイオン電池コストが高くなるため、その他のコストをいかに下げるかが死活問題。共通化することで開発費を抑制し、そのうえで相対的に人件費が安いインドに生産をまとめれば、2重の意味でコスト低減につながる。
もっとも、生産効率や人件費の観点だけでみれば、既存のガソリン車やHV(ハイブリッド車)でも共通化してなるべくインドに生産拠点を集約すればいいのは同じ。だが、実際はそう単純ではない。
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