スズキ「EV第1弾」を日印欧の共通車種にする訳 SUV型をインドで生産・販売し日欧に輸出も

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スズキの顧客層からすればeVXの価格帯は高価になるため、販売に工夫を凝らす。スズキ関係者によると、日本では「サブスクリプション」と呼ばれる定額制サービスでの提供も1つの方法として検討しているという。

サブスクは、毎月決められた料金を払うことで、継続して商品を使用できる仕組み。ユーザーは商品を買い切るのではなく、例えば3年や5年と言った一定期間の利用後には商品を返却する。

そのため商品の価格分のすべてを負担する必要がない。電池の劣化や、それに伴い下取り価格が低下する不安もない一方、所有権を持てないという面がある。

スズキは今年2月から、一部の軽自動車や小型車の新車で、サブスク形式での提供を始めている。国内の他メーカーのEVでは、トヨタ自動車がbZ4Xを2022年5月の提供開始からサブスク専用にしていた(2023年11月からは一般販売も開始)。

インドでのシェア死守にも影響

eVXの日本での成否は、スズキにとって生命線であるインド市場でのEV戦略にも関係する。

前述の通りインドのEV化の進度は早くはないものの、避けられない大波であることは間違いない。ゲームチェンジをチャンスととらえ、地元大手のタタ自動車は2020年からEVを出して先行している。同じく地元大手のマヒンドラ&マヒンドラは今年、SUV型のEVを投入した。

韓国大手でインドのシェア2位の現代自動車はインドでのEV販売の実績はまだ乏しいが今後、EV関連で巨額投資を予定する。スズキがこれからインドでシェアを守っていくためには将来への布石として、eVXで評価を得ることは大事になる。

ジャパンモビリティショーでeVXを紹介する鈴木社長。電動化時代にもインドの牙城をがっちりと守れるかが問われている(写真::尾形文繁)

もし、日本や欧州でeVXの展開がある程度うまくいき、世界トータルでの台数を稼いで1台当たりの生産コストを少しでも下げられれば、インドでの競争力の強化にもつながっていく。

サブスク活用など売り方の試行錯誤を絡めて、日本などでどれだけ台数を出せるのかは、スズキのインドでの今後の戦いを見据える上でも1つのポイントになりそうだ。

奥田 貫 東洋経済 記者

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おくだ とおる / Toru Okuda

神奈川県横浜市出身。横浜緑ヶ丘高校、早稲田大学法学部卒業後、朝日新聞社に入り経済部で民間企業や省庁などの取材を担当。2018年1月に東洋経済新報社に入社。

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