日本の学校で詳しく教えない「黒人30万年の歴史」 世界各地、多数の民族にまたがる壮大な歴史

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(写真:Chinnapong/PIXTA)
いま世界的に、これまでの西洋中心の歴史認識の見直しが進められている。特に、豊富な資源、生産力とともにテクノロジーも急成長中のアフリカ大陸は、多くの企業や産業が進出しており、アフリカ史・アフリカ事情について最新のアップグレードを行うことで、ビジネスシーンにおいても異文化理解・コミュニケーションを深めるための貴重な知識となる。書籍『黒人の歴史 30万年の物語』より一部抜粋して紹介する。

さあ黒い人の話をしよう。気の遠くなるほど昔に始まり、21世紀の今日に至る長い物語だ。黒人という語は「サハラ砂漠以南のアフリカにルーツをもつ人々」の意で使われることが多い。現にアフリカに住む人だけでなく、かつての奴隷貿易でアフリカ大陸から連れ去られた人々の子孫や、自発的にアフリカを出て各地に移住した人も含まれる。しかし、そうやって一括りにしてしまうと、アフリカ人の築いてきた国や文化、歴史の多様性が見えなくなる。

多様な人々

黒人の歴史: 30万年の物語
『黒人の歴史: 30万年の物語』(河出書房新社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

アフリカは人類発祥の地とされる。知られるかぎりでも30万年以上前のことだ。以来ずっとアフリカ大陸に住み続けた(つまりアジアやヨーロッパ、アメリカなどの大陸に移らなかった)人たちが、自らを「黒人」と呼んだことはない。ヌビア、ヨルバ、スワヒリなどの民族に分かれ、それぞれに独自の言語や文化を発展させ、独特な統治システムを築いてきたからだ。

しかし16世紀以降、サハラ砂漠以南のアフリカ人は一括りに「黒人」と呼ばれるようになった。みんな由緒ある古代文明の末裔なのに、大西洋奴隷貿易に携わる商人やヨーロッパの植民地主義者は彼らを「劣等」と決めつけ、差別することを正当化した。

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