日本の学校で詳しく教えない「黒人30万年の歴史」 世界各地、多数の民族にまたがる壮大な歴史

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

白人と手を組んで潤った一部の者を除けば、たいていの黒人は苦しみ、白人支配に必死で抵抗した。無理な労働を強いられ、ノルマを果たせなければ殺されることもあったからだ。1929~30年には英領ナイジェリアで女性たちが蜂起し、工場を襲撃し、裁判所に火を放ち、列車を止め、通信用の回線を切断した。

勝ち取った人権

20世紀になっても白人支配は続いたが、黒人たちも自らのアイデンティティに気づき始めた。音楽や美術、文学の世界を中心に、互いに「黒人」として手をつなぎ、国境を越えた運動を起こした。「ニグロ」などの差別的な呼称に対抗して自ら「ブラック」を名乗ることで、黒人としての連帯が確立されたのは20世紀後半のことだ。

アフリカゆかりの黒人すべてが力を合わせ、共通の政治・社会的目標を追求する。そんな「汎アフリカ主義」の運動が各地で芽生え、1900年には英領トリニダード島出身のヘンリー・シルベスター・ウィリアムズの提唱で、最初の汎アフリカ会議(Pan-African Conference)がロンドンで開かれた。一方、地域レベルでも黒人たちは戦っていた。アフリカの黒人は植民地支配に抗し、独立を目指していた。アメリカの黒人は人種隔離政策の撤廃を、フランスやイギリスの黒人は対等な市民権を求めていた。そしてついに、機は熟した。

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事