分断が進む職員室に対話を生み出す「魔法の質問」 「なぜ先生になったの?」から始まる対話文化

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赤司:聴くというのは大事ですよね。対話力というと、自分が話すことだけを考える人も多いのですが、どちらかというと聴く力のほうが重要なのではないですか。「中つ火」を続けていると、聴く力がとても伸びてきた先生もいて、それこそが生徒と接するときにとても大切な力だと感じます。

社会のハブとしての学校

住田:コロナ禍で子どもから教えられることが多くありました。たとえば運動会。先生たちはどうやって開催するか頭を抱えていたのですが、生徒たちの発想は自由です。分散して行うなら得点を競うのではなく、皆で何か1つのものを作ってはどうか、それならプロジェクションマッピングをやろうという運びになりました。

「こうあらねば」という発想がないから、新しい価値を生み出すんですね。同じように教職員も、「ねばならない」から自由になれるといい。社会全体が変わらないと難しいですが。

赤司:保護者や地域は、学校に対してもう少し寛容であってもいいように思います。生徒に何か問題が起きると、すべて学校の責任になってしまうのは日本独特ではないでしょうか。

また、保護者が「うちの子を何とかしてください」と学校に頼み込んでくるケースもあります。もちろん学校はその子の成長に大事な役割を担うのですが、何でもかんでも学校の役割と、先生がそれにがんじがらめになってしまっているように見受けられます。

住田:先生たちは真面目だから、一生懸命にやるでしょう。そして感謝され、それ以上のことを求められ、精神的にも肉体的にも疲弊してしまいます。

校長は、働きやすい環境作りの一環として、教職員との対話だけでなく地域社会との対話もしていく必要があるのかもしれません。たとえば校庭の草むしりを通して交流をはかるといったように、地域と一体となった学校のあり方も考えたいですね。

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