こうして高校3年生に入ってからもずっと勉強していた田内さんは、いちばん得意科目であった数学を伸ばすのではなく、古文や漢文・英語などのほかの科目に時間を割きました。
「経済的な理由で、現役で東大に入るしか選択肢がありませんでした。落ちたときのことは何も考えませんでした。絶対に受からないといけなかったので、得意科目である数学に頼ってはいけないと思い、安定的に模試で点を取れるように、それ以外の科目を勉強して全体的なレベルを底上げしました。そのおかげで模試の結果はA判定で安定していました」
最後まで気を抜かず勉強をした田内さんは、センター試験で753/800点を記録し、ずっと目標に定めていた東大理科I類を受験します。
受験本番でまさかの事態が起こる
しかし、この人生最大の勝負を控えた彼を極限のプレッシャーが襲いました。
「試験の前日はぐっすり寝ないといけないと思っていたら、試験前々日から眠れませんでした。寝れたのは2~3時間程度。それで前日の昼に睡魔が来たのですが、今寝たらダメだと思い我慢していました。そうしたら、いざ夜になったときに全然眠れなかったんです。
結局、寝ついたのは朝の6時。睡眠時間1時間の状態で最初の科目の数学に臨みましたが、人生最悪の出来でした。いつもは最初に大問1~6までを見て2問ほどサクッと解けそうな問題を見つけるのですが、睡眠不足もあって、そうした問題が1問もなくてパニックになってしまいました」
しかし、数学が終わったあと、田内さんは開き直って休憩時間に1時間眠ることにします。そのおかげであとの科目で挽回することができ、無事合格することができました。「合格発表まで本当に焦っていた」そうですが、無事名前を見たときには安堵したそうです。
「浪人をするという選択肢は一切ありませんでした。かといって、ほかの大学は受験料がもったいないという理由で受けていない。背水の陣だったんです」
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