グレーはダメ?ブルー/グリーンで進む水素の今 水素先進県と水素先進都市で見た水素の利活用

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「はつもみぢ」12代目蔵元の原田康宏氏によると、そもそもはトクヤマ社内でのアイディア検討イベントの中で発案されたものだというが、「開発には数年間を要した」という自信作だ。

「水素晒」と「はつもみぢ」12代目蔵元の原田康宏氏(筆者撮影)
「水素晒」と「はつもみぢ」12代目蔵元の原田康宏氏(筆者撮影)

周南市としては、今後も市民に寄り添った形でさまざまな水素の利活用を検討していく。

これまでの施策における知見と、国が打ち出したGX戦略による水素関連事業の環境変化を踏まえて、2024年度以降の新たなる水素利活用計画を示すため、現在準備を進めている段階だ。

議論は当然、グリーン水素やブルー水素への対応、またアンモニアや合成メタンについても及ぶだろう。それでも、周南市にとって苛性ソーダ由来の水素は「地域資源」であり、これからも「利活用が重視されるべき」という立ち位置に変わりはないだろう。

例えば、グリーン水素やブルー水素を想定した水素関連機器や商品の基礎研究の中で発生する水素を、市外の企業などが積極的に活用することも考えられる。また、既存の水素に加えて、太陽光などによる水電解で得たグリーン水素を、港湾関連で使う燃料電池パッケージで利活用することもありうるだろう。

国が水素とともに利活用を推進するアンモニアや合成メタンについても、周南市内での直接的な利活用に限らず、「周南市が生み出す新たなるエネルギー」として、国内外の産業界での利活用が進むことも期待される。

「水素を使う人々の顔」が見える戦略を

グローバルで水素産業が大変動期に入った今、国はグリーン水素とブルー水素の導入に多大な投資を推進し始めようとしているところだ。

その中で、当然ながら忘れてはいけないのは、「人はなぜ、水素が必要なのか」という、日常生活における「水素の利活用」について真正面から向き合う姿勢を貫くことである。

理論上のCO2削減達成目標からのバックキャストだけでは、「水素を使う人々の顔」が見えてこない。水素を机上で色分けするのではなく、「人中心」の水素のあり方について、今一度考えるべき時期だと強く思う。

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桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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