また、周南市については、純水素型燃料電池ユニットを周南市の地方卸売市場や徳山動物園に設置したり、県内企業による太陽光発電による水素製造システムの開発を県として支援したりしてきた。
直近では、環境省委託事業として、2015~2021年度までの7年間、「苛性ソーダ由来の未利用な高純度副生水素を活用した地産地消モデル(周南市)・地域間連携モデル(下関市)の構築」を進めるなど、まさに、水素先進県としての挑戦的な試みを続けてきたと言える。
こうした水素関連施策の振り返りと将来の方向性ついて、山口県産業労働部産業脱炭素化推進室・主幹の小野隆弘氏に聞いた。
小野氏は「水素の利活用の観点では、そもそも山口県は大都市圏に比べると人口が少なく、副生水素の活用が限定的だ」と県の実状を説明。
一方で、国のGX関連政策が動き出した昨年あたりから、特に大手企業の水素事業への関心が高まっていることを「県としても実感している」という。
そのうえで、各種実証試験で知見をためてきた地元の中小企業が、大企業に独自技術導入を提案するための勉強会や技術支援を継続的に行っていく必要があるとし、それが「県としての現実的な方法である」との考えを示した。
周南市は「わかりやすい水素の利活用」を目指す
次に周南市役所を訪問し、産業振興部 商工振興課 コンビナート脱炭素推進室・室長補佐の山根正敬氏に、周南市における水素戦略の今後の方向性について聞いた。
その中で、何度も出てきた言葉が「市民レベルでのわかりやすい水素の利活用」だ。
同市の水素関連施策を振り返ると、始まりは2013年まで遡る。
前述のように、大規模コンビナートで純度の高い水素が発生している周南市では、2013年6月から液体水素製造工場が操業している。液体水素製造工場としては、全国で3カ所目となるものだ。
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