貴重な好事例「宇都宮LRT」各方面から注目の訳 公共交通「リ・デザイン」の先端がここにある

✎ 1〜 ✎ 12 ✎ 13 ✎ 14 ✎ 最新
拡大
縮小
正式名称を宇都宮芳賀ライトレール線という宇都宮LRT「ライトライン」(筆者撮影)
正式名称を「芳賀・宇都宮LRT」という「ライトライン」(筆者撮影)

栃木県で2023年8月26日に開業した宇都宮LRT「ライトライン」に今、各方面から注目が集まっている。

背景には、日本全体で地域公共交通の維持管理・運用が“大きな曲がり角”に差しかかっていることが挙げられる。そのうえで、「人×自治体×事業者」の連携による、「新しい暮らし方」が模索されているところだ。

そうした日本の社会現実を、宇都宮市で開催された公共交通関連イベントに参加し、またライトラインに乗車しながら実感した――。

東側は「新生・宇都宮」といえる様相に

2023年9月22日(金)午前11時、東京から東北新幹線に1時間弱乗って、JR宇都宮駅に到着した。

筆者は、これまで何度も宇都宮を訪れている。宇都宮市と隣接する芳賀(はが)町にはホンダの研究開発拠点があるほか、宇都宮市周辺には自動車産業に関わる企業の施設などがあり、取材や意見交換を目的として訪問しているからだ。

そんな宇都宮の街並みが近年、大きく変わってきた。

JR宇都宮駅の東口側に停車するライトライン(筆者撮影)
JR宇都宮駅の東口側に停車するライトライン(筆者撮影)

宇都宮市の地図を広げてみると、宇都宮市役所や栃木県庁がJR宇都宮駅の西側の少し離れたエリアにあり、近くには東武宇都宮駅を中心とした繁華街がある。

周辺には、「餃子のまち・宇都宮」を代表する人気店や、最近では「カクテルの街」や「ジャズの街」としてナイトライフを楽しめるお店が増えてきている。

一方、JR宇都宮駅東側にはバスターミナルやホテルなどがあったが、かつては人通りが少ない印象だった。それが今は「新生・宇都宮」というべき都市空間が広がっており、その中に話題のLRTの停留場がある。

国土交通省によれば、LRTとは「ライト・レール・トランジットの略で、低床式車両(LRV)の活用や軌道・電停の改良による乗降の容易性、定時性、速達性、快適性などの面で優れた特徴を有する軌道系交通システム」のことを表す。一般的な見方では、「新しいタイプの路面電車」といったところだ。

駅東側は、まず2022年8月にホテル、スーパーマーケット、各種店舗などが入る商業施設「ウツノミヤテラス」が、また同年11月には大型会議施設の「ライトキューブ宇都宮」がオープンした。

次ページ全長14.6km、運賃150円~400円(割引あり)
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT