グレーはダメ?ブルー/グリーンで進む水素の今 水素先進県と水素先進都市で見た水素の利活用

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このように北九州市は、地域の産業競争力の強化と住民の生活環境向上のため、グレー水素のみならず、グリーン水素やブルー水素を考慮した施策を、福岡県と連携して進めていく構えだ。

北九州市の水素関連施策の詳細については、近日中に改めて現地取材を予定している。

「水素先進県」山口、「水素先進都市」周南市

一方、北九州市から関門海峡を渡った先の山口県に目を移すと、少し事情は違うようだ。山口県の産業労働部産業脱炭素化推進室の資料には、「水素先進県」という表現がある。

冒頭のバイオディーゼル燃料仕様「CX-60」の写真は、山口県庁敷地内で撮影したもの(筆者撮影)
冒頭のバイオディーゼル燃料仕様「CX-60」の写真は、山口県庁敷地内で撮影したもの(筆者撮影)

同県は、宇部・小野田地域(アンモニア工場・石油精製工場)、周南地域(苛性ソーダ工場・石油精製工場)、そして岩国・大竹地域(石油精製工場)の3つのコンビナートを持つ、世界に向けた素材供給基地だ。

NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)が実施した2019~2020年調査報告によると、全国での最大水素発生量は、1日あたり5900万Nm3。このうち山口県が、9.3%の550万Nm3の水素を生成している「水素の県」である。

特に周南地域は、苛性ソーダ由来の副生水素の供給ポテンシャルが高く、水素の純度も非常に高いのが特徴だ。

山口県周南市のコンビナート(筆者撮影)
山口県周南市のコンビナート(筆者撮影)

そんな山口県は、これまでにさまざまな水素関連の施策を打ってきた。時系列で見ていくと、まず2004年6月に「水素フロンティア山口推進構想」を発表。

株式会社トクヤマの徳山製作所から水素パイプラインを敷き、「水素タウンモデル事業」を2004年度から2009年度まで実施した。

県内に大規模な最終組立施設である、マツダ防府工場が立地している関係もあるのだろう。この時期、山口県は公用車にマツダの「RX-8 ハイドロジェンRE」や「プレマシーREハイブリッド」を導入している。ともに、水素を燃料とするロータリーエンジン車だ。また、2011年9月の山口国体では、トヨタと日野が共同開発した燃料電池式ハイブリッドバスを運行させた。

水素製造の企業誘致では、2015年8月に中国・四国地方では初となる水素ステーション「イワタニ水素ステーション山口周南」が開業し、その後に公用車にMIRAIを導入している。

イワタニ水素ステーション山口周南(写真:岩谷産業)
イワタニ水素ステーション山口周南(写真:岩谷産業)

水素関連事業に対する補助金の拡充にも積極的だ。例えば、2018年度には「やまぐち産業イノベーション促進補助金」を設定している。

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