昭和の「ゆるい企業文化」なぜ今見直すべきなのか 合理化を進め余裕をなくした日本社会の問題点

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組織が長く存続しすぎると、堅苦しくなるということも考えられます。

1945年の敗戦後、日本は野放図で乱暴な時代となり、その中でソニーやホンダなど、いろいろな企業が生まれました。それから約80年。大企業の顔ぶれは、今も変わっていません。

日本の1950年代以前からのコンピューター系大企業と言えば、NEC、富士通、日立、日本電信電話公社(現NTT)などです。

一方、アメリカのコンピューター業界では、1950年代以前からの大企業で、現在も生き残っているのはIBMだけです。他はすべて潰れるか、買収されて消滅。マイクロソフト、フェイスブックのように、新しい会社が次々登場しては、古い会社を潰して前進していくのです。

組織が存続し続けると、ヒエラルキー構造が固まって、硬直化してしまいます。その中では、真面目で堅い人のほうが生きやすい。乱世の英雄のようなタイプの人は、活躍しづらく、排除されてしまうのです。

特に伝統的な大企業では、面白い人が社長になるということがありません。いろんなことに挑戦する人は、途中で失敗しますから、社長レースから外れていくのです。最後まで上りつめるのは、たいしたことは何もしていないけど、失敗もしていない人。

そんな人が、つまらないギャグを言って、周りは無理して笑ったりする。まったくユーモアがありません(笑)。

若者が魅力を感じる組織とは?

ユーモアは、ヒエラルキーやルールによって、がんじがらめになったものを、いかに解きほぐすかという話でもあります。

景気が悪くて暗いのは当たり前、という中で育ったミレニアム世代、Z世代は、どう楽しく生きるかを考える人が増えています。

そういう若者が魅力的に感じるのは、硬直した真面目な企業ではなく、ユーモアのある企業ということになるでしょう。

(構成:泉美木蘭)

佐々木 俊尚 作家・ジャーナリスト

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ささき・としなお / Toshinao Sasaki

1961年兵庫県生まれ。早稲田大学政治経済学部中退。毎日新聞記者、『月刊アスキー』編集部を経て、2003年よりフリージャーナリストとして活躍。ITから政治、経済、社会まで、幅広い分野で発言を続ける。最近は、東京、軽井沢、福井の3拠点で、ミニマリストとしての暮らしを実践。『レイヤー化する世界』(NHK出版新書)、『そして、暮らしは共同体になる。』(アノニマ・スタジオ)、『時間とテクノロジー』(光文社)など著書多数。

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