中国人が逃げられない、「戸籍格差」の現実 これが「努力しても報われない」の実態だ
同等の学歴を持つ女性2人の「明暗」
「正直いって生活はカツカツなんです。OLとしては多めの給料だと思うんですが、家賃も高いし。給料は上がらないのに、家賃が上がり、物価もどんどん上がっていって……。この先、私の人生どうなるのかと思うと、不安でなりません」
上海で働く35歳のOL、徐さんはがっくり肩を落とす。徐さんは内陸にある河南省の農村出身。幼い頃から成績優秀で、苦学の末に上海の名門、復旦大学を卒業。その後、日本の有名国立大学の大学院に進学し、工学を学んだ。日本での数年間のOL生活を経て、上海の大手日系企業に職を得た。
彼女の月給は1万元(約20万円)と、待遇は悪くない。しかし、この春からこれまで2800元(約5万6000円)だった家賃が一気に500元(約1万円)も値上がりすることがわかり、青ざめた。このまま給料が上がらず、家賃や物価がどんどん上昇するかもしれない、ということに強い不安感を覚えたのだ。まだ結婚はしていない。
お昼は手作りの弁当を持参するなど、生活は質素だ。大学時代の友人は何人かいるが、農村出身の友人たちは田舎に帰ってしまった。そのため、悩みを打ち明けられる友人は周囲には少ない。春節のときは飛行機代を節約し、汽車に十数時間揺られて帰省。両親にお年玉まであげてくるという親孝行な娘だ。大都会、上海で孤独に耐えながら、必死に生きている。
一方、同じ高学歴女性でもまったく違った人生を歩む人もいる。45歳の謝さんは、上海生まれ上海育ち。徐さんと同じ復旦大学で経済を学んだ後、中国の大手銀行に入社。今は月給3万元(約60万円)をもらう中間管理職となっている。
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