「天皇」林野vs「王子」中野、セゾン投信巡る愛憎劇 なぜ60歳会長は81歳会長に解任されたのか?
カギ握るファンドマネージャーの移籍
新会社設立が思ったほどスムーズに進んでいない原因は2つある。
まず人の問題。注目されるのは、セゾン投信にいる人間で新会社の出資にも関わっている、現役のファンドマネージャー。日本株ファンドの運用の成功はこの人物の動向いかんなのは間違いない。グローバル株ファンドは海外運用会社への外部委託で補うつもりでいる。
ほかにメガバンク出身者も社外取締役に挙がっていたり、中野氏が長年コンビを組んで頼っていたアドバイザーも設立準備を手伝ったりしているもよう。なかのアセット側にしても、あまり露骨に引き抜けば、古巣からの訴訟リスクもまったくないとはいえず、慎重に事を進めていると聞く。
またお金の問題もある。新会社のスキームを描くにあたり、出資する金融機関にとっては、議決権のある株かない株かが焦点になっていた。中野氏は当初、増資で議決権のない株を与えようとしていたが、一部から反発の声があがったため、議決権を与えて資本調達を優先するもよう。株主が分散すれば、経営判断に時間を要することもありえよう。
新会社の拠点は、破綻した旧山一証券の兜町本社があった、兜町第一平和ビル(東京都中央区)。中野氏は個人のフェイスブックを通じ、運用からバックオフィスまで、新たなスタッフを募集しており、社員は15人程度で始まる見込み。バックオフィスに必要なシステムは日本資産運用基盤グループ(JAMP)に外注し、莫大とされるIT投資を最小限に抑える。金融庁からの認可も早く下りそうだが、年内はまだまだ紆余曲折があるだろう。
そもそもセゾン投信、いやクレディセゾンを含めたグループの”お家騒動”は、どんな経緯で起こったのか。
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