日本で一番買われているお化けファンドの「正体」 新NISAを前に、0.1%切る壮絶な価格戦争を主導
2024年の新NISAスタートを控え、資産運用会社のつばぜり合いが激しくなっている。主力のインデックスファンドは0.1%未満のコスト競争でまさしく体力勝負の消耗戦だ。
先陣を切りトップを独走しているのが、三菱UFJアセットマネジメント(旧三菱UFJ国際投信)が運用する、「eMAXIS Slim」シリーズである。
2017年2月の設定以来、純資産総額は2021年に1兆円を超え、2023年7月には早くもシリーズで5兆円を突破。驚くほどの急角度で右肩上がりだ。中でも、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は2.5兆円を超える大黒柱で、米国の経済成長の恩恵をまともに受けたといえる。国内のインデックスファンドとして初の純資産総額トップに輝いた。
投資家からの愛称は「オルカン」
最大の要因はコストの低さ。何しろこのシリーズは「業界最低水準の運用コストを将来にわたって目指し続ける」というコンセプトを掲げている。実際、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の信託報酬率は年0.05775%(税込み)。しかも純資産総額が大きくなるほど、信託報酬率が段階的に低くなる構造であるため、実質信託報酬率は年0.05764%(税込み/2023年10月19日時点の純資産総額を基に算出)と業界では最も安い。
今や投資家には“オルカン”の愛称で知られており、すでに商標も登録しているほどだ。