阪神優勝より穏やか「オリックス優勝」の納得背景 新しいオリックス・バファローズの時代に

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捕手の若月健矢と話す山本由伸(写真:筆者撮影)

2021年はMLBの大スター、アダム・ジョーンズがチームの精神的支柱となったが2022年はエース山本由伸と中軸吉田正尚が大活躍。

そして吉田がMLBに移籍した2023年はエース山本に加えて、1軍初登板が開幕投手という抜擢を受けた山下舜平大がエース級となる。さらにFA移籍した強打の捕手森友哉が吉田正尚の穴を埋めた。ヒーローが毎年代わりながら強くなっていったのだ。

打つ手打つ手が面白いほどにハマって、今季は2位ロッテに14.5ゲーム(9月20日時点)もの大差をつけて優勝。

阪神優勝と比べて穏やかなセレモニー

優勝を決めた9月20日のオリックス-ロッテ戦のチケットは完売していたが、球場に入るファンは実に穏やかだった。過去2年の接戦での優勝とは異なり、圧勝だったからでもあろう。

試合は終盤まで劣勢だったが、7回に一挙6点を取って大逆転した。場内は大盛り上がり。中嶋監督は胴上げで5回宙に舞ったが、優勝後のセレモニーも阪神に比べれば穏やかで、過激なところはなかった。

京セラドームからほど近い道頓堀では、警察官は2人しか出動しなかった。18日の阪神優勝では1000人もの警官が出たと言われるが「オリックスファンはこういうことはしない」という認識が広まっているからだろう。

元の阪急、オリックスファンも、近鉄ファンも、今回の優勝は大満足だったのではないか。中嶋監督の「育てながら勝つ」手腕は完全に定着した。もうオリックスがどうの、近鉄がどうのという時代は終わって、新しいオリックス・バファローズの時代になったのだ。

広尾 晃 ライター

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ひろお こう / Kou Hiroo

1959年大阪市生まれ。立命館大学卒業。コピーライターやプランナー、ライターとして活動。日米の野球記録を取り上げるブログ「野球の記録で話したい」を執筆している。著書に『野球崩壊 深刻化する「野球離れ」を食い止めろ!』『巨人軍の巨人 馬場正平』(ともにイースト・プレス)、『もし、あの野球選手がこうなっていたら~データで読み解くプロ野球「たられば」ワールド~』(オークラ出版)など。

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