阪神優勝より穏やか「オリックス優勝」の納得背景 新しいオリックス・バファローズの時代に

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事態が劇的に変わったのは2020年だった。この年、成績不振のために8月20日、西村徳文監督が交代。中嶋聡2軍監督が代行として采配を執ることになった。

西村監督時代は16勝33敗4分、勝率.327に対し、中嶋代行になってからは29勝35敗3分、勝率.453と大幅に勝率が向上。最下位だったが翌シーズンに希望を抱かせるものだった。

多くの投手を現場で見てきた中嶋監督

中嶋聡は、ほかにはないキャリアの野球人だ。秋田県立鷹巣農林出身、1986年ドラフト3位で捕手として阪急ブレーブスに入団、強肩強打の捕手として鳴らしたが、以後、オリックス、西武、横浜、日本ハムとチームを変わり試合出場は減りながらも選手登録は続けていた。

日本ハム時代の2007年からはコーチ兼任となったが、2015年に引退するまで、実働年数29年は山本昌とならぶNPB野手史上最長。

2023年キャンプでの山本由伸と宮城大弥(写真:筆者撮影)

受けた投手は阪急の山田久志、佐藤義則から西武の松坂大輔、横浜の三浦大輔、さらには日本ハムのダルビッシュ有、公式戦ではないがブルペンでは大谷翔平の球も受けている。山田久志と大谷翔平の年齢差は実に46歳、これほど多くの投手を現場で見てきた野球人はほかにいない。

中嶋監督は正式に就任した2021年から宮崎キャンプの組み分けを1軍、2軍ではなくA組B組に分けた。A組は「中嶋監督が手元に置いて見てみたい選手」B組は「任せておける選手」。選手を見る目に絶対的な自信がある中嶋監督は、こういう形で選手を見極め、育成、抜擢したのだ。

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