阪神優勝より穏やか「オリックス優勝」の納得背景 新しいオリックス・バファローズの時代に

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オリックスファンも近鉄ファンも「なんでやねん」と嘆き悲しんだ。本拠地は大阪ドームとグリーンスタジアム神戸。まさに「足して2で割った」ようなチームだったのだ。

両チームの選手の内、オリックス・バファローズが優先的に確保した選手を除いては、分配ドラフトで新球団楽天に移籍した。しかし近鉄のエース岩隈久志は、オリックスに所属するのを良しとせず、自ら望んで楽天に移籍している。選手の気持ちも揺れ動いていたのだ。

当初は近鉄も球団株式を保有していたが2008年に出資を引き揚げる。また従来は「兵庫県、大阪府」だったフランチャイズも大阪府だけとなる。じわじわと「オリックスカラー」が強くなったのだ。

ほっともっとフィールド神戸の外壁(写真:筆者撮影)

今でもほっともっとフィールド神戸(グリーンスタジアム神戸)では年に数試合、公式戦が行われる。

この球場の外壁には、近鉄の300勝投手鈴木啓示(背番号1)と、阪急のレジェンド山田久志、米田哲也、福本豊、そしてオリックスのイチローまでの写真が1つにまとめられた壁画があった。歴史の異なる2チームの選手を無理やりにまとめたこの展示の前で、ファンはしばしば首をかしげたものだ。

「バファローズ警察」もいるが…

オリックスファンの間に「バファローズ警察」という言葉がある。オリックスは「バファローズ」であって「ッ」は入らない。それを指摘して回る人たちのことだが、球団関係者であっても「バッファローズ」と言ってしまう人がいる始末で、球団愛に薄い印象は否めなかった。

アイデンティティが分裂したチームは、強くなれない。2005年に新チームとなってから、2020年までの16年でオリックスのポストシーズン進出は2回だけ。2014年、2位になったときはクライマックスシリーズで、京セラドーム(大阪ドーム)は久々の盛り上がりだったが、日本ハムに敗退した。

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