「マカロニえんぴつ」がオヤジをも惹きつける理由 摩訶不思議な魅力はどうやって生まれたのか

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思えば、我々オヤジ層は、ロックバンドが音楽シーンの真ん中にいた時代に青春を過ごした。ロックバンドに憧れて、楽器を始めて、即席バンドを組んで、スタジオに行って、チューニングもそこそこに無我夢中で演奏して、コードやアンプを急いで片付けて……を経験した世代だ。

あの頃の夢、スタジオの中に所狭しと楽器が並べられたUNICORN『ケダモノの嵐』(1990年)のジャケットにうっとりした世代の夢=「音楽を好き過ぎる若者たちが心から楽しんで、ワイワイ言いながら音楽を作っている感じ」が、『大人の涙』には詰め込まれている。

『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』(2017年)という映画があったが、現代の奥田民生になりたいボーイの音を元・奥田民生になりたいボーイが聴いても、まぁ、バチは当たらないだろう。

「バンドマン」という言葉は…

マカロニえんぴつの音を聴きながら、私は「バンドマン」という言葉を思い出した。忌野清志郎が好んで使った言葉だ。

これだけロックバンドなのだから、マカロニえんぴつのメンバーはさぞかし「バンドマン」という言葉が好きなのかと思いきや、はっとりは意外にもこう語るのだ――「アーティストも嫌だけど、バンドマンはもっと嫌なんですよね」「バンドマンって、楽器持ってる映像がパンと出てきません? ミュージシャンのほうが5億倍いい。バンドマンって言われたくない。だってバンドマンですよ?」(ROCKIN'ON JAPAN/2023年10月号)

このあたりのはぐらかし方、やっぱりUNICORN譲りということか。じゃあ「バンドマン」の代わりに、憧れのバンドのアルバムタイトルでもある「スプリングマン」(SPRINGMAN)はどうだろう。

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スージー鈴木 評論家

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すーじー すずき / Suzie Suzuki

音楽評論家・野球評論家。歌謡曲からテレビドラマ、映画や野球など数多くのコンテンツをカバーする。著書に『イントロの法則80’s』(文藝春秋)、『サザンオールスターズ1978-1985』(新潮新書)、『1984年の歌謡曲』(イースト・プレス)、『1979年の歌謡曲』『【F】を3本の弦で弾くギター超カンタン奏法』(ともに彩流社)。連載は『週刊ベースボール』「水道橋博士のメルマ旬報」「Re:minder」、東京スポーツなど。

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