それにしても音大に「ロック&ポップスコース」があること自体、オヤジ世代には驚きである。同大学の公式サイトによれば、このコースの「POINT」として「講師は現役プレイヤー。現代の音楽シーンを身近に感じながら強い個性を発掘」「プロユースのスタジオを使って、時代をリードするミュージシャンを目指す」「コンサートやライブに多数出演し、新しい音楽の可能性を広げる」とのこと――隔世の感がある。
「ロックバンド」が音楽シーンの中心ではない時代
さて、ニューアルバム『大人の涙』の魅力は「音楽を好きすぎる若者たちが心から楽しんで、ワイワイ言いながら音楽を作っている感じ」にある。一言で言えば「ロックバンド感」だ。
この記事、ここまで「ロックバンド」という言葉を使ってきた。思えばロックバンドという形態は、90年代ぐらいまでは音楽シーンの中心的な位置にいた。しかし、今や絶滅危惧種とまでは言わないまでも、音楽は、デスクトップに向かって1人で作れる時代になっている。「ワンオペ・ミュージック」の時代だ。
対してロックバンドは、「ワンオペ・ミュージック」に比べて時間、手間、金、すべての面で面倒くさい、「コスパ」「タイパ」の悪い形態である。だからこそ、音楽シーンの中で、ロックバンドは中心から少しずつ端っこの方向へと移動していった。
しかし、マカロニえんぴつは、明らかにロックバンドなのだ。サイト「音楽ナタリー」の記事(2023年8月30日)で、『大人の涙』についてメンバー・高野賢也はこう語る――「バンドでやるレコーディングの楽しさが詰まってる1枚ですね。さらに愛着が湧くアルバムになったんじゃないかなと思います」。
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