またサイト「Billboard JAPAN」の記事(同日)で「どんな音をライブにおいて目指している」かと聞かれて、メンバー・田辺由明はこう答えている――「ポップスバンドではなくて、あくまでもロックバンドの音像でいたい、というかね」。
そんな彼らによる『大人の涙』には、メンバー同士の激しくも楽しい相互作用の中で作られた感じ、つまりは「ロックバンド感」にあふれている。
「音素」の数が桁違い
相互作用の中で、音楽的アイデアがどんどん積み重なっていったのだろう、結果、1つ1つの曲の中に詰め込まれた豊富なアイデアが、聴き手に満足感、満腹感を与える。
昭和のロックバンドの音がブラウン管、平成のそれがハイビジョンだったとすると、マカロニえんぴつの音は4K、いや8Kの超・高精細画面だ。画素数、いや「音素」の数が桁違いだ。
また、相互作用によって、音楽性が、聴き手の予想を裏切って、あさっての方向へと展開する。定番的なJポップから、どんどん外れていく。
このあたりは、青春時代の私も愛したロックバンド=UNICORNからの影響だろう。実は、ほとんどの作詞・作曲を手掛けるメンバーのはっとりは、奥田民生が在籍したUNICORNが大好きで、その名前もUNICORNのアルバム『服部』から名付けられている。
UNICORNへの憧れが高じて、今年5月19日には、UNICORNとマカロニえんぴつの「ツーマンライブ」が実現。はっとりがUNICORNをバックに「服部」を歌ったというのだが(そして奥田民生とはっとりが「旅をゆけ」という曲を共作したことが9月21日、発表された)。
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