日本関与「インドネシア火力」巡る汚職で有罪判決 丸紅とJERAが出資。JBIC、3メガの融資に影響も

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他方、3メガバンクはいずれも「個別の事案については回答を差し控える」(三菱UFJ銀行)などと言葉をそろえる。そのうえで、投融資先で贈収賄など不法行為が行われていた場合には「一般的な対応」として「まず事実関係を確認し、外部アドバイザーの意見も参考に、銀行団として議論を重ね、融資契約に則り、対応方針を検討することになる」(みずほ銀行)という。三井住友銀行も一般的には「事実関係を確認、状況把握に努め、総合的に判断のうえ、対応方針について検討する」と述べている。

発電企業CEPR社に出資する丸紅およびJERAは、同社の元幹部が元県知事に賄賂を渡していたとの証言が公判でなされたことについて、「そのような証言がなされた事実については把握している」(両社)と回答。そのうえで「事業体(=CEPR社)において外部弁護士を起用して調査を実施したものの、そうした(贈収賄に関する)事実関係は確認されていないと認識している 」(両社)と口をそろえる。

日本各社が求められる説明責任

現在、CEPR社の社長はインドネシア人幹部に代わって丸紅の出向者が務めており、「十分なガバナンス体制が取られていると考えている」(丸紅)ともいう。

とはいえ、今後、上級審で贈収賄の事実が認定された場合、今後の事業への影響は避けられないだろう。

JBICは「公的輸出信用と贈賄に関する経済協力開発機構(OECD)理事会勧告」(OECD贈賄勧告)に基づき、融資先企業が融資後に贈賄に関与したことが判明した場合、捜査当局への情報提供、強制期限前弁済などの適切な措置を取ることを組織として取り決めている。

JBICは「融資契約の具体的な内容については答えかねる」とし、NGOなどが求めている融資の見直しについては「事実関係を調査したうえで、その結果に応じて、OECD贈賄勧告なども踏まえ、 融資契約に基づき、適切に対応することになる」という回答にとどめている。

JBICや3メガバンク、丸紅、JERAは、融資や事業のモニタリングが適切だったのか、説明責任が問われている。

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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