50億円集め訴訟「エーアイトラスト」に賠償判決 高利回り「ソーシャルレンディング」のその後

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エーアイトラストは10%前後の利回りをうたって投資家を勧誘
エーアイトラストは10%前後の利回りをうたって投資家を勧誘した(記者撮影)

「判決を言い渡します」

1月17日の東京地方裁判所611号法廷。5人ほどの傍聴人が見守る中、ある損害賠償請求事件の判決が言い渡された。裁判長が判決主文を読み上げるのにかかった時間は約2分。だが、提訴から判決までに要した期間は5年を超えた。

訴訟を起こした原告は140人超。訴えられたのは「トラストレンディング」の名称でソーシャルレンディング事業を行っていたエーアイトラスト社と、その役員などの関係者だ。

判決直後、傍聴していた原告たちは代理人の太田賢志弁護士(あおい法律事務所)を囲み、その言葉に耳を傾けた。「これから判決文を受け取りに行きますが、主文を聞いた限り、ほぼ完勝だと思います」。原告たちの間に安堵の空気が流れた。

官僚OBの役員5人も連帯責任

インターネット上で投資家を募り、集めた金を企業に融資するソーシャルレンディング。融資で得る利息を投資家に配当し、一定期間を経て元本を償還する。近年は、融資型クラウドファンディングと呼ばれることが多い。

エーアイは年10%程度の利回りをうたい、2017年2月以降の2年近くで延べ1万人を超える投資家から約52億円を集めた。集めた金は年13%前後の金利で複数社に融資した。

融資先の企業について「高速道路工事の下請けや原発事故の除染などを行っている」と投資家に説明していたが、実際はこうした事業を受注していなかった。エーアイは関東財務局から業務改善命令を2度受けた後、2019年3月に第二種金融商品取引業の登録を取り消された。

元本が償還される可能性は低くなり、2019年8月に今回の集団訴訟となった。東京地裁は判決で原告の請求どおり約3億4700万円を支払うようエーアイなどに命じた。当時の役員は在任期間に応じて、支払いに連帯責任を負う。そこには官僚OBの元役員5人も含まれる。

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