──よく史料が見つかりましたね。
本当に偶然でした。研究員として勤めていた三井文庫の書庫には9万〜10万点の史料があって、目録はデータベース化されています。通常は検索して目的の史料を閲覧するのですが、私は研究に行き詰まると気晴らしに書庫で並んだ史料を眺め、適当に手に取っては目を通していました。その1つが「日用帳」、信用調査書でした。
一見するとメモ帳です。略語や専門用語が多く、当時の崩し字が読める研究者であっても、中身はよくわからないかもしれません。
ただ私の場合、出てくる単語にどうも見覚えがあった。それまで3〜4年、三井文庫で研究していた金融業や都市不動産の史料で見た顧客名や担保物件と一致するんです。それで契約前の信用調査書だと気づきました。融資に際して審査はしただろうと推測していましたが、記録がこれほど体系的に残っているとは思いませんでした。
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