子育て本、読むほど「悩みの迷路」にハマる納得理由 Amazonで検索するだけでも1万冊

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例えば、中学受験勉強の低年齢化、幼児教育、メンタル面、成長の遅れへの不安、発達特性、不登校、塾の選択、多種多様な入試形式、思考力、表現力、プログラミング、英語教育、スマホ、ゲームなどです。近年は年間2000件を超える相談に個別で回答していますが、実にさまざまな相談があります。

子育て本の多読で、自分が混乱してしまうことも

相談を受ける中で、ある傾向があると感じています。それは、情報をたくさん知れば知るほど混乱してしまう人が多いということです。つまり、子育てについて情報を得ることは大切だけれども、ネットでたくさんの子育て記事を読み、子育て本を片っ端から読んでいる人に限って、悩みが深く、混乱状態にあるということです。

例えば、ある子育て本には、「子どもをどんどん褒めてください」と書いてありますが、「子どもをそう簡単に褒めてはいけません」と書いてある本もあります。もちろん文脈を読み取れば、その言葉の背景が理解できることもありますが、実際に真逆のことが書いてあることもあります。このような情報の洪水中では、混乱するのはある意味当然かもしれません。

多読したがために、混乱してしまうのでは本末転倒です。

一方で、世の中には多読しても混乱せず、自分の知識と教養が増え、より適切な子どもへの対応方法を見つけることができる人もいます。これはいったいなぜなのでしょうか。

あくまでも筆者の個人的見解ですが、大きく2つの類型があると考えています。

1つは、批判的思考(クリティカル・シンキング)で読む人で、もう1つは、“素直”な思考で読む人です。

前者は本をたくさん読んでもそう簡単に振り回されることはありませんが、後者は振り回されることがあります。本来、批判はマイナスのイメージがあり、素直にはプラスのイメージがありますが、読書に限っては逆になることがあります。

(1)批判的思考の人(クリティカル・シンキング)

このタイプの人はさらに2つに分かれます。

①  自分と同種の考え方を求める人

本を読みながら、自分と同じ考え方の場合は共鳴し、そうではない場合は「排除する」タイプなので情報には振り回されません。ただ、自分の思想や思考といった自分軸がさらに強化されることはあっても、新しい視点を学ぶことはほとんどありません。

②  自分と異なる考え方を前向きに学ぶ人

このタイプは自分軸を持ちながらも、多様な思考や考え方を身につける姿勢がある方です。このタイプは本を読めば読むほど知識と教養のみならず、多様な価値観や考え方を習得できます。しかし、自分軸があるので情報に振り回されることはなく、その軸を中心に自分より広い世界にアクセスすることで多様性を学んでいきます。

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