例えば、成長意欲が高く、上司や先輩たちから厳しい指導を受けたい人と、反対に自分のペースで仕事したいから、構わないでほしいという人がいます。あるいは仕事が終わったら、すぐに職場を離れたい、会社の同僚との飲み会なんて参加したくない人。それとは対極に、頻繁な飲み会がないとモチベーションが維持できない人もいます。
昭和の時代なら、会社側が社員を慮って心理的な安全性を確保するというよりは、社員の側が会社の空気に合わせるのが当たり前だったかもしれません。しかし、今はそれでは社員たちに愛想を尽かされかねません。
それでは、心理的安全性の高い職場の姿とはどんなものでしょうか。
職場のコミュニケーションが活発で、社員の仕事に対する意欲も高い職場。もしくは、メンバー同士の仲が良いだけの「ぬるま湯」組織でも、お互いを干渉しない孤立した「厳しい職場」でもない、ほどよい職場。このどちらかが多いかもしれません。
一般的には「触らぬ神に祟りなし」の発想で、ぬるま湯的にもっていこうと考えがちです。ただ、それでは生産性が上がりませんし、業績が厳しくなって報酬があがらない。結果として処遇に対する不満から離職者が出てしまったりもするでしょう。
あくまで、職場で上司やメンバーとの関わりは密にあり、さらに、成長機会がしっかりとあること。それこそが、心理的安全性の高い職場といえます。
距離感を間違えて痛い目をみることも
あるマーケティング会社に勤務するSさんは7人の部下をもつ管理職。心理的安全性の確保を会社から要望されて、その類の研修も何度か受講しました。ただ、研修でいくら学んでも部下は個別に価値観や要望を備えています。その距離感を間違えて痛い目をみる毎日に苦労しているようです。
Sさんの部下の一人であるGさんは、入社5年目の若手社員。真面目に仕事に取り組んでいるものの、成果が十分に出てきません。そこで、上司のSさんがGさんに「今週中にクライアント向けのプランをまとめてほしい」と要望したところ、それを負担に感じたようで、体調を壊し、長期休暇となってしまいました。
Sさんとしては、Gさんの結果につなげるために早めにプランを確認して、指導をしたいと思ってのことでした。ただ、Gさんからすれば、別の提案との兼ね合いで難しい状況。でも、無理とは言えないと感じてしまったようです。心理的安全性の確保の点では、不十分であったということになってしまいました。
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