「部下が離れていく人」が知らない適切な距離感 「心理的安全性」で部下も上司も悩んでいる

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「心理的安全姓」を職場で実現するには、結局のところどうしたらいいのでしょうか(写真:USSIE/PIXTA)

地上波テレビなどで転職サービスのCMを見ることが増えてきました。かつてのように転職がネガティブなことではなくなり、また実際に転職する人も一般的になってきたことで、日本の職場が大きく変わりつつあります。

社員にとっては、自分にとって今よりもよい職場に巡り合える機会が増えていることは幸運ですが、貴重な人材に辞められてしまう元の職場側にとってはダメージも小さくありません。

「心理的安全性の確保」が重要となった理由

こうして優秀な社員の離職防止を図ろうとする職場が増える中、従来にも増して、ますます「心理的安全性の確保」が重要と言われるようになってきました。企業として社員に対して約束をしないと、人が離れていく。

Google Japanで人材開発を行うなどしてきたピョートル・フェリクス・グジバチ氏の著作『心理的安全性 最強の教科書』がマネジメント層に人気となっています。心理的安全性の確保が、職場で喫緊のテーマになっているからでしょう。

「心理的安全性」とは、心理学用語「サイコロジカルセーフティ(psychological safety)」を和訳したもの。職場で仕事をしているときに誰に何を言ったとしても、人間関係が壊れることがない。相手の視線や思惑などを気にせず、自分の意見が率直に言える状態のことを指します。

これだけ注目されるということ、多くの人がそれだけ周囲に気をつかっている、そうしないと、人間関係が壊れてしまうという環境にいるということかもしれません。

職場ですから家族のように気兼ねなく接するのはさすがに困難として、適度な距離感を維持できることが働きやすさにつながり、いわゆる職場へのエンゲージメントを高め、離職防止につながるということなのでしょう。

ただ、適切な距離感を保って各人と接するのは簡単ではありません。なぜなら人によって心理的な安全を感じる距離感が違うからです。

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