顧客の「保留」を呑むお人好し営業は商機を逃す 契約から遠ざかる「言い訳」には納得せず切り返す

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③必ず訴求で終わる

お客様の言い訳が終わって、自分のHPを守り抜いたら、いよいよ③の説得タイムに入ります。ここでは最後を「〇〇してください」と訴求で締めるのが肝心です。

お客様はすでに自分の主張を出し切っているので、営業マンの主張にも耳を傾けて「それもそうだな」と納得しはじめます。こうして、お客様のHPが削られたところで、ズバッと訴求です。

具体的には、それぞれの言い訳に合わせた切り返しトークを投げかけるだけです。「他社比較」だったら自社商品が他社より優位なエビデンスを見せたり、「金銭問題」だったら払える範囲で分割回数を調整したり。そのうえで、今やるべき理由をお伝えします。

「〇〇様、正直にお話しいただきありがとうございます。お気持ちよくわかりました。そのうえで、お話を聞いてみて、〇〇様だからこそ、一刻も早くはじめられたほうが絶対にいいと確信しました。なぜなら、こうこうこういう理由だからです」
「どこでやってもお金はかかりますし、スタートしないと何もはじまりません。〇〇様ご自身がおっしゃっていた目標達成のために、ぜひこの機会にご決断ください」

このように営業マン側の理由を言って、お客様の納得を取りにいくのが切り返しです。納得するごとに、お客様のHPは減っていきます。ただ、最後までお客様は迷いますので、訴求セリフの連打で背中を押すのが有効です。

感情に振り回されず、やるべきことをやる

連打①第三者話法

「ご契約されたみなさん『こんなに役に立つならもっと早くはじめればよかった!』と、口をそろえておっしゃいます。どうかこの機会にスタートしてください」

連打②仕事訴求

「私も仕事で来ておりますので、ご契約いただきたいと思っております。ぜひご決断ください」

連打③ここだけ訴求

「ここだけの話、私は個人的に〇〇様のお人柄にとても好感を抱いておりまして、だからこそ、品質面で絶対に後悔してほしくないと思っております。ですから、ぜひ当社にお任せください」

こうして訴求を繰り返すからこそ、お客様は「じゃあもう、そこまで言うなら」と、ようやく心が決まります。

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一方、言い訳をコツコツ切り返しても契約が取れない営業マンには、共通点があります。それは、訴求前にお客様の反応をうかがっていること。口では「今日決めたほうがいいですよ」と言いながら、内心「どうだろう?」「どう思う?」とモジモジしているのです。タイミングを逃すと、せっかくの連打も決まりません。

ビジネスには絶対的な正解があります。それが「効果本位」です。自分本位でも相手本位でもなく、ものごとを効果本位で考える人が、抜きん出ていきます。そこに余計な感情が入るから、うまくいかなくなるのです。

効果本位で言うと、お客様の言い訳に対してやるべきことは、「共感⭢納得しない⭢訴求で終わる」この3つだけ。媚びではなく商品を売るために、この型はしっかり身につけておきましょう。

感情に振り回されず、やるべきことをやる。これが営業道場の鉄則です。

堀口 龍介 即決営業代表取締役

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ほりぐち りゅうすけ / Ryusuke Horiguchi

1976年、大阪生まれ。訪問販売の最大手に入社し、その翌年にセールスマン1000人以上のなかで年間個人売り上げ1位の成績を収める。その後、訪問販売会社を渡り歩き、在籍した3つの会社すべてで年間個人売り上げ1位を記録。29歳で訪問販売会社を起業し、自身が実践してきた「即決」にこだわる営業手法を社員にそのまま実践させた結果、初年度から年商2億7000万円を売り上げる。以降、京都や東京に拠点を広げ、グループの売り上げが年商5億円を突破。39歳のときに、「売る力は誰もが人生を思い通りに切り開くための最強のスキルになる」と考え、自身のオリジナル営業手法を世に広めることを決意。

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