夏の甲子園、日本中を沸かせた「9つの重要テーマ」 「脱丸刈り」「慶応の応援」「チアへの盗撮」…

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9つ目の話題は、慶応の応援への賛否。決勝の試合が進むにつれて、Xのトレンドランキングには、「慶応の応援」「大応援団」「応援のせい」「異様な雰囲気」「応援の力」「仙台育英がんばれ」「仙台育英応援」などのフレーズが上位20位をほぼ独占するような状態が続いていました。

慶応の応援はそれまでも何度か、その迫力や相手チームへの圧力が指摘されていましたが、好意的なものばかりではありません。「相手チームの攻撃時にアウトを取っただけで大声を出して盛り上がるのはマナー違反」などの声が少なくなかったのです。決勝では両チームで6つものエラーがありましたが、「大きすぎる応援が両チームへのプレッシャーになっていたのではないか」という声も見られるなど、応援のマナーを考え直すきっかけにつなげていくべきでしょう。

ターニングポイントと言われる年に

ただ、慶応の応援がこれほど盛り上がったのは、単に107年ぶりの優勝がかかっていたからだけではなく、「メディアの慶応びいき」という背景がありました。とくに民放各局には大学も含めた慶応のOB・OGも多いためか、勝ち進むたびに扱いが大きくなり、ワイドショーでは相手チームとの差が歴然に。それがネット上の反発を招いたことで、決勝戦の前後にはできるだけ平等に扱うような配慮が見られたようにも感じました。

ここまで、「酷暑の開催」「脱・丸刈り」「チアリーダーへの盗撮」「土の持ち帰り」「“盛り上がりが足りない”応援」「日大クエスト」「チケット高額転売」「誤審の影響」「慶応の応援への賛否」という9つの話題をピックアップしてきました。球児のプレー以外だけでこれほどの話題があっただけに、のちに今大会は「2023年がターニングポイントだった」と言われるかもしれません。

甲子園の開幕前夜に大型特番「ファン1万人がガチで投票!高校野球総選挙2023」(テレビ朝日系)が放送されたほか、今秋からTBSの看板ドラマ枠「日曜劇場」で鈴木亮平さん主演の「下剋上球児」(TBS系)が予定されているなど、高校野球がエンターテインメントのトップクラスにいるのは間違いないでしょう。

だからこそ運営側やメディアは、エンターテインメント性ばかり追求するのではなく、球児のプレー環境や生徒の応援環境をより整えることが望まれていくのではないでしょうか。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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