「ラグビーW杯」誤審激減でもブーイング急増の闇 ジャッジにITを導入したらどうなるか?
ラグビーワールドカップ・フランス大会が南アフリカの4度目の優勝で幕を閉じました。鍛え抜かれた選手たちが死力を尽くして戦う姿は感動と興奮の数々。ラグビーファンにとって、4年に1度の至福の毎日でした。
ただ、個人的に気になったのが、観客の審判へのブーイング。審判が応援するチームに不利な判定をしたり、反則が疑われるプレーがあるたびに、地鳴りのようなブーイングが起きました。
筆者は、2019年に行われた日本大会で5試合を観戦しましたが、1試合に1回くらいしかブーイングを耳にしませんでした。今大会の新しい動きと言えるブーイングについて、どう考えればいいのでしょうか。
ビデオ判定で誤審は減ったはずなのに
審判へのブーイングについて考える前に、ラグビーにおける審判の役割について、歴史の変遷を踏まえて紹介しましょう。
ラグビーは、計30人もの大男が広いグラウンドで80分にわたって猛スピードでぶつかり合う競技です。審判が細かなプレーまで正確にチェックするのは困難で、正確な判定を求めると、試合が成り立たなくなってしまいます。
そのため選手は、審判を全面的に信頼し、仮に審判が判定を間違えたとしてもごちゃごちゃ言わずに次のプレーに全力を尽くそうと考えます。これがラグビー精神の1つです。このラグビー精神は、セルフジャッジという考え方に由来するようです。
1823年にラグビーが始まってからしばらく、試合に審判は置かれませんでした。1875年に審判を置くことがルール化されましたが、1892年まで国際試合でも審判を置くかどうかは任意でした。
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