「ラグビーW杯」誤審激減でもブーイング急増の闇 ジャッジにITを導入したらどうなるか?

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話は変わりますが、今回のワールドカップでのブーイングから個人的に考えさせられたのは、人事評価のAI化です。いま、一部の先進企業の人事部門は、人間がやってきた人事評価の作業をAIに置き換えることを検討しています。

これまでは、評価者のスキルが未熟だったり、えこひいきがあったりして、不正確・不公平な人事評価が横行していました。しかし、データを処理するのはまさにAIの仕事。人間が勘と経験でやるより、AIの方がはるかに正確・公平な人事評価を実現できるはずです。

人事評価のAI化は進むか?

人事部門としては、まず、人事評価をAI化するか、しないかという選択を迫られます。人事部門にとって人事評価は権力の源泉なので、現状では「できれば手放したくない」と考える人事部門関係者が多いようです。

しかし、他社が続々とAI化したら、AI化を拒み続けると「あの会社はいまだに人事部門の担当者がいい加減な人事評価をしている」ということで、学生や転職希望者から敬遠されてしまいます。AI化しないという判断は考えにくく、どうせやるなら早く着手する方がいいでしょう。

ただ、今回のブーイングを見ると、AI化で人事評価が正確・公平になったからといって、従業員の納得感が高まるとは思えません。人事評価に対する従業員の納得感をどう高めていくのかは、今後も引き続き大きな課題になりそうです。

日沖 健 経営コンサルタント

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ひおき たけし / Takeshi Hioki

日沖コンサルティング事務所代表。1965年、愛知県生まれ。慶應義塾大学商学部卒業。日本石油(現・ENEOS)で社長室、財務部、シンガポール現地法人、IR室などに勤務し、2002年より現職。著書に『変革するマネジメント』(千倉書房)、『歴史でわかる!リーダーの器』(産業能率大学出版部)など多数。

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