「さみしさ」が私たちを苦しめる脳科学的根拠 人間は社会的集団を作ることで生き延びてきた
さみしさは「人間が生き延びるため」の仕組み
さみしいという感情は、誰のなかにも存在します。
大人になってからあまりさみしさを感じなくなったという人も、おそらく子どもの頃は、一緒にいたはずの両親からはぐれてしまったり、突然ひとりぼっちになったりするとさみしくなり、不安で泣いてしまったという経験があるのではないでしょうか。
なぜわたしたちには、さみしいという感情が生じるのか――。
この問いに対しては、脳科学や生物学の観点から、さみしいという感情には人が進化するうえで、なにかしらの役割があったからだと考えられます。
さみしいという感情は、人という社会的な生物にとって必要不可欠なものであり、ときに強い痛みを伴うほど強力に発動させることで、人という種を存続させ、進化を果たしてきたと示唆されます。
赤ちゃんや幼い子どもは、母親の姿が見えなくなったとたんに泣き出し、抱きかかえられると泣き止むことがあります。ひとりでは生きられないほど未熟な状態であるため、自分を守ってくれるはずの存在がそばにいないことは、いわば大きな生命の危機にさらされている状態です。その危機をさみしさというシグナルで敏感に感じ取り、誰かに守ってもらえるように大声で泣くことで、まわりに知らせていると見ることができるでしょう。
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