就活で企業が見ている「本当の市場価値」の実態 「資格があれば就活で有利になる」のは本当か?

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私は過去に企業の人事採用の責任者を務めたことがありますが、その企業のみならず、採用のお手伝いをした多くの企業でも、最重要視されるのは「入社後に何をやりたいか、何ができるのか」というビジョンでした。

企業は、入社後のビジョンが明確な人材を求めているのです。

そして、ビジョンの有無やその解像度の高低は、自然と「顔つき」に現れるものです。

「入社後に何をやりたいか、何ができるのか」が明確ということは、応募する企業についてよく調べていること、さらに自分のスペック(性格、能力、特徴など)をちゃんと把握していることになります。

そうした人材は採用側からの質問に適切に回答できるだけでなく、自分が知りたいことを整理して的確に質問することができます。

つまり、面接の質疑応答が有意義かつスムーズに進むのです。

求人採用は企業にとって必要不可欠ですが、お金と時間の負担が大きい活動でもあります。そのため、せっかく採用した人材が短期間で退職することは企業にとって大きなダメージとなります。

応募者が持つビジョンの解像度が高ければ、入社後のミスマッチを面接の段階で確認しやすいため、それが表れる「顔つき」を採用担当者は重視するのです。

そのため就活を始める際は、まず「自分は何をやりたいのか、何ができるのか」を確認する必要があります。それが人材市場における価値決定に大きく影響してくるのです。

市場価値は「やりたいこと」の把握で高まる

自分の「やりたいこと」を考えるとき、注意しなければならないのが「好きなこと」や「得意なこと」との混同です。

「好きなこと」は、努力や情熱を惜しみなく注げる対象のこと。ただし、必ずしも自分の性格や才能と合致しているとは限りません。

一方、「得意なこと」はストレスや苦労がなくできること。自分の才能を活用できることとも言い換えられます。

そして、「好きなこと」と「得意なこと」の両方の要素を備えているのが、「やりたいこと」になるのです。

次ページバランスの悪さや勘違いで起きるミスマッチ
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