就活で企業が見ている「本当の市場価値」の実態 「資格があれば就活で有利になる」のは本当か?

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「確かに、仕事で使える資格をたくさん持っていれば、企業側にアピールできる!」

そう考えたAさんは、いろいろな資格を取るための勉強を開始。順調に取得を進めていきました。

履歴書の資格欄が1つずつ埋まるたび、憧れの広告会社への内定が近づくような気がします。再び自信を取り戻したAさんは、余裕たっぷりに就活を開始しました。

ところが、実際に就活を開始すると、資格は内定の決定打にならないことを思い知らされることになるのです。

資格があれば「市場価値が上がる」?

昔から「資格があれば市場価値が上がって就活で有利になる」という考え方が存在します。検索候補のトップに「就活 有利 資格」と表示されやすいのも、それを信じた多くの人が就活に有利な資格をネットで検索するからです。

資格は「◯◯のスキルや知識を持っています」ということを、客観的に保証するもの。自信をつけるためにも、就活に有利な資格を検索したくなる気持ちはわかりますが、人事採用の現場で活動していた経験を持つ私に言わせると、新卒でも転職でも、資格が採用の決め手になることはほとんどありません。

もちろん、資格が応募条件の求人もありますが、その場合は応募者全員が有資格者になるので、やはり資格が採用の決定打にはなりません。

そもそも「市場価値」とはマーケットにおける商品の評価額のこと。バブル崩壊後に転職情報サイトで、「あなたの市場価値を見てみよう」といったフレーズで、推定年収を算出する際に使うようになりました。個人情報を入力してもらうのに便利なキーワードだったからです。

ただし、労働者の市場価値はさまざまな側面から算出されるため、「資格があれば市場価値が上がる」という考え方は現実的ではありません。

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