サウジアラビアが石油市場で大きな力を持つ事情 中国の中東における存在感がさらに高まる可能性

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しかし、サウジアラビアに限っては必ずしも短期的な経済効率にだけとらわれることなく、あえて戦略的な判断で供給余力を保有する例外的な国なのです。

同国は余剰生産能力を維持することのコストと、それを保有することによって発揮しうる影響力(=パワー)を天秤にかけて、余力を保有することを選択して実行しています。平時に供給余力を維持する負担は決して小さくありませんが、この戦略的な判断こそが、サウジアラビアが石油市場で絶大な存在感を発揮している背景になっています。

ですから、仮にロシアの石油供給に途絶が起きて、市場が不安定になっても、サウジアラビアがその気になれば、供給低下の影響をできる限り小さくする力を持っています。

サウジアラビアが消費国の要請に応じて、増産すれば市場の安定は取り戻せます。ただし、それを実現するにあたって、現在世界が注目するようになったのが、アメリカとサウジアラビアの関係が良好かどうかということです。両者の信頼関係が十分に機能しなければ、サウジアラビアが期待どおりに需給調整するかどうかはわからなくなります。

アメリカの存在感が薄くなった中東に中国が手を伸ばしつつある!?

さらに事情を複雑にしているのが、中国の存在です。

中国にとっても中東は重要な資源の供給源です。アメリカの存在感が弱くなった間隙を突くように、今後、中国が中東で影響力を増していくような動きが見られます。

実際、2022年12月に、中国の習近平国家主席がサウジアラビアを訪問しました。サルマン国王および実権を握るとされるムハンマド皇太子と会談を行い、経済を含めた広範な協力関係の構築に合意しています。

そもそも、世界最大の石油輸入大国である中国は、2030年にCO2排出のピークを迎えると宣言しています。つまり、今後も石油の消費は拡大する可能性があり、同国にとって石油の安定供給の確保は大きな課題です。

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