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サウジアラビアが石油市場で大きな力を持つ事情 中国の中東における存在感がさらに高まる可能性

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  • 小山 堅 日本エネルギー経済研究所専務理事・首席研究員
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ただ近年、両国の関係は複雑になっています。その大きなきっかけは、2018年に起きたサウジアラビアのジャーナリスト、ジャマール・ カショギ氏の殺害事件でした。

この事件への関与の可能性が指摘されるサウジアラビアのムハンマド皇太子に対して、人権・民主主義を重視するバイデン大統領は厳しい姿勢を取りました。 以降、両国はギクシャクした関係になりつつあります。

(出所)『地政学で読み解く! 戦略物資の未来地図』

例えば2022年、原油価格の引き下げのためにバイデン大統領がサウジアラビアを訪問したときのことです。ムハンマド皇太子と会談して石油増産を要請しましたが、その3カ月後にはOPECプラスは大幅減産に政策を転じます。サウジアラビアに対してアメリカが失望を表明するなど、目に見える形で両国の溝が広がる局面が見られました。

ほとんど同じ展開が2023年4月のOPECプラスの追加増産決定の場面でも見られました。

なぜサウジアラビアが石油市場で大きな力を持っているのか

読者の皆さんのなかには、中東にはたくさんの産油国があるのに、なぜサウジアラビアが際立って重要なのかという疑問を持つ方もいるでしょう。
それは、サウジアラビアが石油市場の安定にとって極めて特別な存在だからです。同国は石油市場を安定化させるために必要な大規模な供給余力を持つ稀な国です。需給が逼迫したときにはその余力を速やかに市場に開放することができる一方、供給過多になっている場合は減産して生産量を調整する役割を担っています。

需給の調整役として最大の力を保有しているのが、中東産油国のなかでも特にサウジアラビアというわけです。とくに近年、エネルギー市場では供給余力が低下してきたこともあって、石油、天然ガス、石炭は、どの生産国も基本的には余力を持っていません。逆に言えば、フルに設備を稼働させることで最も経済的な生産を追求しています。

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【アメリカの存在感が薄くなった中東に中国が手を伸ばしつつある!?】

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