サウジアラビアが石油市場で大きな力を持つ事情 中国の中東における存在感がさらに高まる可能性

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ここで勘の鋭い読者のなかには「シェール革命」で石油を増産できたのだから、中東に関与する必要はないのではないのかと考える人がいるのではないでしょうか。自給自足できるほどの石油が自国内から取れるのだから、サウジアラビアをはじめとした中東に翻弄される必要はないのではないかという疑問です。

しかし、「シェール革命」がアメリカの対外戦略に影響を与えているのは間違いないでしょうが、中東の石油が世界にとって重要なことに依然変わりありません。

これはアメリカ自身にとっても同様です。世界の石油供給の中心である中東の地域全体の安定をアメリカが図ることは重要な課題のひとつとなっているのです。

「シェール革命」の後も中東が重要な理由

なぜなら、アメリカは自給自足に近づいたため、供給不足の懸念からは解放されるようになりましたが、中東からの石油供給がどうなるかは国際的な石油価格に大きな影響を与えます。前述のとおり、石油は世界で最も使われている資源エネルギーです。

そのため、石油の価格は世界経済、アメリカの同盟国、そしてアメリカ自身にとっても重大な意味を持ちます。石油輸出の世界シェアは中東産が33%を占めることから、石油市場への影響力は絶大です。たとえ「シェール革命」で石油の自給自足を達成したとしても、アメリカにとっても中東は重要であり続けているということです。 

アメリカが石油の安定を守るために中東との関わりを重視する一例が、中東産油国の盟主であるサウジアラビアとの「特別な関係」の維持です。この「特別な関係」とは、アメリカが、国家の安全を脅かすさまざまな脅威からサウジアラビアを守る。その代わり、サウジアラビアは石油市場の安定を守るという関係です。これが国際エネルギー市場を安定させるひとつの重要な要素でした。

いわば両者は〝持ちつ持たれつの関係〟だったのです。

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