中国の製造業の先行き不透明感が増している。7月3日に発表された2023年6月の財新中国製造業購買担当者指数(製造業PMI)は50.5と、前月(50.9)より0.4ポイント低下。好不況の判断の目安である50を2カ月連続で上回ったものの、製造業の景気回復の勢いが弱まっていることを示唆した。
留意すべきなのは、3日前の6月30日に発表された中国国家統計局の調査に基づく製造業PMIが異なる動きを見せたことだ。国家統計局の6月の製造業PMIは49.0と、前月(48.8)より0.2ポイント上昇。3カ月連続で目安の50を割り込んだ。
6月の製造業の事業活動は、供給側と需要側の双方で拡大ペースが鈍化した。供給側の指標である生産指数は、拡大基調と縮小基調のボーダーラインを割り込みこそしなかったが、前月に記録した2022年7月以降の最高値から明確に下落した。一方、需要側の指標である新規受注指数はわずかな下落にとどまった。
経済の内生的な回復力が不足
雇用の改善も足踏みしている。製造業の6月の雇用指数は、2020年3月以降の最低値を記録した前月よりいくぶん上昇したものの、ボーダーラインを依然大きく割り込んでいる。調査対象企業からは、「製品の販売が期待したほど伸びず、減産に伴う人員調整を迫られている」との声が寄せられた。
原材料価格の値下がりを背景に、製造業のコスト圧力は引き続き緩和している。製造業の仕入れ価格の指標である購買価格指数は、6月はボーダーラインを大きく下回る水準のまま、前月よりわずかに低下した。販売価格の指標である工場出荷価格指数は前月よりいくぶん上昇したが、同じくボーダーラインを大きく下回っている。
懸念されるのは、製造業の経営者の向こう12カ月間の楽観度を示す指数が、2022年11月以降の最低値を記録した前月よりさらに下がったことだ。調査対象企業の一部は市況の軟化傾向を憂慮し、将来の減産を予想した。
「6月の調査結果は、中国経済の回復基盤が不安定であり、景気回復の度合いが企業の期待値に届いていない実態を示している。経済の内生的な回復力不足から、需要の弱さや経営者の自信低下を招いているのは由々しき状況だ」
財新グループのシンクタンクCEBMのシニアエコノミストを務める王喆氏は、そうコメントした。
(財新記者:範浅蝉)
※原文の配信は7月3日
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