中国の地方政府で財政規律の乱れが拡大している。一部の地方で歳入の水増しや隠れ債務の増加などの違法行為が横行している実態が、中央政府の会計検査で明らかになった。
中国審計署(日本の会計検査院に相当)は6月26日、2022年度の中央政府予算の執行およびその他の財政収支に関する会計検査報告書を、全国人民代表大会常務委員会に対して提出した。
今回の会計検査で審計署は、地方財政の運営や監督の状況を重点的に検査した。その結果、70カ所の地方政府で国有資産の循環取引や土地の架空売買が見つかり、それらによる歳入の水増しは総額861億3000万元(約1兆7224億円)に上った。
また、49カ所の地方政府が国有資産を買い戻し保証付きで売却したり、地元の国有企業に(公共事業の)工事費を違法に前払いしたりしており、総額415億1600万元(約8302億円)の隠れ債務の増加を招いた。
地方政府の隠れ債務は、今に始まった問題ではない。中央政府は2018年に通達を出し、2017年7月時点の隠れ債務の残高を基準として、それを5〜10年かけて段階的に処理するよう指示。と同時に、新たな隠れ債務を生じさせないよう地方政府に命じた。しかし現実には、隠れ債務はその後も発生し続けていた。
合法的な地方債にも問題
それだけではない。審計署の報告書は、合法的な地方債の一種である「専項債券」(訳注:地方政府が収益性のある公共インフラなどの建設を目的に発行する債券。完成後の収入を元利返済に充てる)についても問題点を指摘した。
20カ所の地方政府が、専項債券の対象プロジェクトについて収入の過大な見積もりやコストの過小評価などに手を染め、収支の均衡を装っていたことが露見したのだ。そのような専項債券の発行総額は198億2100万元(約3964億円)に上った。
報告書はさらに、地方政府の財政暫定支出の早期精算も求めた。財政暫定支出とは、緊急時などに財政部門から予算執行部門に対して融通される臨時貸し出しのことだ。本来なら(地方政府のバランスシートに)長期にわたる計上はできず、すみやかに精算しなければならない。
ところが今回の会計検査では、54カ所の地方政府の財政暫定支出残高が2022年末時点で総額1481億3900万元(約2兆9625億円)に達し、1年前より83億6300万元(約1672億円)増加したことが判明。その一部は、所定の予算を超える過剰支出に回されていた。
(財新記者:程思煒)
※原文の配信は6月26日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら