北京-上海間「第2高速鉄道」建設ルート遂に確定 途中駅数を増やし、都市間ネットワークを拡充

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京滬高速鉄道の現行ルートは、中国の高速鉄道で最多の旅客数と最高の収益性を誇る(写真は京滬高速鉄道の運営会社のウェブサイトより)

中国を代表する高速鉄道である北京-上海間の「京滬高速鉄道」。その2本目の建設ルートが、このほど固まった。山東省濰坊市から江蘇省宿遷市までの(経路が未定だった)区間について、江蘇省交通運輸庁がフィージビリティースタディー(事業化調査)の報告書をまとめ、それを(中央政府の)国家発展改革委員会が批准したのだ。

濰坊-宿遷間は全長399キロメートルに12の駅を建設する計画で、総工費は約154億5000万元(約3035億円)を見込む。2023年内に着工し、2028年6月の完成を目指している。

これにより、「第2京滬高速鉄道」は起点の北京から、天津、河北省の滄州、山東省の濱州、東営、濰坊、日照、臨沂、江蘇省の宿遷、淮安、揚州、泰州、南通、蘇州を経由し、終点の上海に至るルートとなった。

京滬高速鉄道の沿線は中国で最も人口が集中し、都市数が多く、産業の集積度が高い地域だ。それが基盤となり、現行ルートは中国の高速鉄道で最多の旅客数と最高の収益性を誇る。

現行ルートの輸送力は限界

運営会社の決算報告書によれば、京滬高速鉄道の旅客輸送人員は新型コロナウイルスが流行する前の2019年に過去最高の延べ2億1000万人を記録。110億6800万元(約2174億円)の純利益を稼ぎ出した。

だが、コロナ禍前の列車運行本数は1日当たり500本を超え、発車間隔は最短でわずか4分と、輸送力の限界に近づいていた。ゼロコロナ政策の緩和とともに旅客数が急回復するなか、第2ルートの早期建設は喫緊の課題になっていた。

今回決まった第2ルートは、山東半島の付け根を通って(現行ルートよりも東寄りを)南下していく経路をとる。高速鉄道網の整備が遅れていた山東省の中東部と、北京および上海の間の連携強化が期待できる。

本記事は「財新」の提供記事です

第2京滬高速鉄道は、全区間に40余りの駅が設置される。その数は現行ルートの約2倍だ。このことは、第2京滬高速鉄道の平均走行速度が現行ルートより遅いことを意味する。移動時間の短縮よりも、都市間ネットワークの拡充に主眼が置かれたことが見て取れる。

(財新記者:趙丹)
※原文の配信は6月1日

財新 Biz&Tech

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